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2010年代以降、卓球が高速化しました。レシーブの際、チキータや台上バックドライブが積極的に用いられる様になり、早い展開で攻撃を仕掛けていくスタイルが一般的になりました。今回は、このスタイルの流れを作った「張継科」選手を紹介します。
張継科とは?
・張継科(チョウ ケイカ、チャン ジーカ)Zhang Jike
・三東省青島市出身
・1988年2月16日生まれ
・身長178cm、体重73kg
・趣味は料理 フルーツが好き
・右シェイクハンド ドライブ主戦型
サッカー好きの父親によって名付けられました。名前の由来は、ブラジルのサッカー選手ジーコからとられました。張継科自身も幼少期は、サッカーをプレーしていましたが、1993年のサッカーワールドカップ最終予選で中国が惨敗したことにより、本格的に卓球をプレーするようになります。
中国では、自動車メーカーやコカ・コーラのCMに出演しており、歌手デビューもしています。中国のTwitterと呼ばれる、微博には1億200万人のフォロワーがいます。
2018年に中国の女優である景甜との交際を明らかにしました。
経歴
2008年に中国選手権大会男子シングルスで、王皓、馬琳、王励勤を連破し、優勝して中国国内で頭角を現します。
2王1馬とも呼ばれ、2008年の北京オリンピックでは、男子シングルスの表彰台をこの三人が独占し、一時代を築きました。
2009年は、ダブルスで成績を残します。
2010年は、アジアカップで優勝、世界卓球で日本の岸川聖也やドイツのクリスティアン・ズースを破り中国チームの勝利に貢献します。
2011年の世界卓球ロッテルダム大会、男子シングルスで、準決勝でドイツのティモ・ボル、決勝で中国の王皓を破り、初出場ながら優勝します。決勝で得点を決めた後、床に倒れ起き上がり、叫びながらユニフォームを破り、上半身裸になり物議を醸しました。
2012年に開催されたロンドンオリンピック男子シングルスでも、優勝を飾ります。ちなみに、決勝の相手は、前年の世界卓球男子シングルス決勝と同じ王皓選手でした。同大会の団体戦でも中国チームが優勝して2冠を達成します。
2013年の世界卓球パリ大会の男子シングルスで優勝し、世界卓球2連覇を成し遂げます。なお、決勝の相手は王皓選手でした。この大会でも、決勝戦勝利後、観客席の両親の元へ行き、ユニフォームを観客席に投げ込みます。
2014年の卓球ワールドカップ男子シングルスで馬龍を破り、優勝します。優勝が決まった後、興奮のあまりスポンサーの看板2つを蹴り飛ばし、大会優勝賞金4万5千ドルを罰金としてITTFに没収されます。なお、この罰金により、「ITTF スターアワード フェアプレー賞」が設立されました。
2015年の世界卓球蘇州では、男子シングル三連覇をかけて挑みますが、準決勝で方博に敗れて銅メダルに終わります。
2016年の世界卓球クアラルンプール大会では、中国男子団体優勝に貢献します。同年のオリンピックでは、男子シングルス準優勝、男子団体優勝の結果に終わります。男子シングルス準決勝、ベラルーシのサムソノフ選手との試合中に腰を痛めました。準決勝の試合には勝ちましたが、決勝の馬龍選手には0-4で完敗しています。そして、同大会終了後には、「もう疲れてしまって、プレーを続けられないね」と引退を匂わすコメントを残します。
2017年、上記のコメントを残しましたが、世界卓球や国際試合にはエントリーしています。しかし、以前の様な結果を残せなくなります。
2018年にも前年と同じ様な状態であり、同年のジャパンオープンでは、当時急成長を遂げた張本智和選手に負け、準優勝に終わっています。
2022年現在、国際試合には姿を見せなくなりましたが、引退はされておりません。
プレースタイル
若干、バックハンドが振りやすい様にラケットを握っており、隙のない両ハンドが特徴です。多くの中国選手は、フォアハンドに重きを置いており、バックハンドの球に対して回り込んでフォアハンドで攻撃する機会も見られますが、張継科選手は、基本的にバックハンド側の処理は、バックハンドで行います。
基本的に苦手な選手はいませんが、過去は、韓国の朱世赫選手を苦手としていました。しかし、後年に克服しています。中国の超級リーグでチームメイトになり、対策方法を掴んだのではないかと考えられています。また、対馬龍選手の勝率が悪いです。
チキータ
チキータは、1990年代にチェコのコルベル選手によって開発されました。バックハンドで、ラケットを立てて側面を擦ります。このチキータに可能性を見出し、独自に進化させました。従来は下回転のショートサービスに対しては、ストップやツッツキ等の守備的なレシーブが主流でしたが、チキータを使用することで、レシーブの段階から、攻撃的な返球が可能になりました。現在は、多くの選手がこの技を使用しています。
台上バックドライブ
上記のチキータと似ていますが、ボールの側面ではなく上側を擦り上げ返球する技です。従来は、ロングサーブに対して主に使用されてきましたが、張継科選手は、ショートサービスにおいても積極的に使用します。
YGサーブ
1990年代にヨーロッパの若手選手が使用し始めたYG(ヤングジェネレーションサーブ)ですが、張継科選手は、進化させました。腕のモーションを大きくして出します。ボル選手やシュラガー選手と比較していただけると分かり易いのではないかと思います。2010年代以降は、アジア選手もYGサーブを使用する選手が増えました。
使用用具
ラケット
張継科選手は、長年バタフライの「ビスカリア」を使用されています。なお、グリップはFLです。
ビスカリアについては、上記の記事をお読み下さい。
また、張継科選手は使用していませんが、バタフライから張継科選手モデルが販売されています。
ラバー
張継科選手は、フォア面にキョウヒョウNEO3ブルースポンジ、バック面にテナジー80を貼っています。フォアラバーは黒、バックラバーは赤です。厚さについては、不明ですが、おそらく特厚だと思います。(多くのトップ選手が特厚を使用している為)
おすすめ動画
若き日の張継科選手です。プレースタイルは、この時点でほぼ形成されています。
世界卓球2011年の準決勝です。この試合は、日本の松平兄弟も高評価しています。高プレーもいくつかあります。
ジュニア時代からライバルとして競ってきた二人の対決は、「科龍対決」と言われます。
サムネは、卓球レポートより引用https://www.butterfly.co.jp/takurepo/interview/detail/006826.html