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サムネイルの画像は、卓レポ名勝負セレクション|メイス 対 郝帥(世界卓球2005上海大会 男子シングルス準々決勝)BUTTERFLY YouTubeチャンネルから引用しています。
メイス選手は、2000年代に活躍した名選手です。
知らない方はもちろん、知っている方も今一度、この記事を読んで確認してみて下さい。
メイス選手について
・マイケル・メイス (Michael Maze)
・1981年9月1日生まれ
・デンマークファクセ出身
・オールラウンド型→ドライブ主戦型 左シェイクハンド
・趣味は釣り
・デンマーク語、英語、ドイツ語を話すことができる
経歴
2004年2月にドイツのフランクフルトにて、開催されたヨーロッパトップ12で優勝し、頭角を現します。その後、同年開催されたアテネオリンピックの男子ダブルスでフィン・ツグウェルと組み銅メダルを獲得します。
2005年に上海で開催された世界卓球では、中国の王皓選手と郝帥選手を破り、ベスト4になりました。
同大会の郝帥選手とのゲームは、卓球界の歴史に残るベストゲームの一つとなりました。
BUTTERFLYの名勝負セレクションの中でも、屈指の名試合となっており、もはや資料と呼べる動画になっていると思います。
この後、しばらく大きな試合で結果が残せない状態が続きます。
2009年には、アジア人のコーチを付け、従来の後ろに下がった時は、ロビングをするプレースタイルを辞めて、どこにいても積極的に得点を狙う攻撃的なスタイルに変更しました。そして、同年に開催されたヨーロッパ選手権では、前年優勝者のティモ・ボル選手と2003年度世界卓球優勝者であるヴェルナー・シュラガー選手を破り、優勝します。
好ラリーを多く展開されています。
当、ブログでは過去にヴェルナー・シュラガー選手についても紹介していますので、併せてお読み下さい。
2016年に一度、引退宣言を行いますが、2017年に現役復帰、またT2リーグでは監督も務められています。
そして、2018年には現役完全復帰を宣言されます。
プレースタイル
2009年より前は、前陣及び中陣では、ラリー戦で勝負をし、後陣ではロビングを使用して凌ぐのが特徴でした。また、テニス選手の様なスイングフォーム(後述する「メイスカッター」が代表的)で打球することもあり、独創的な卓球選手でした。プレースタイルの変更後は、レシーブから積極的にフリックやバックハンドドライブを用いたり、後陣に下がってもロビングを多用しなくなったり、攻撃的なプレースタイルとなりました。
サーブ
メイス選手は、サーブを出す時にラケットを頭付近に近づけるモーションをします。
サーブは、回転重視で時折、高く投げ上げることもあります。また、YGサーブを多用します。
ロビング
メイス選手のロビングは、回転量、深さ、高さのどれもが質が高く、従来の守備的なただ相手の攻撃を凌ぐだけの技術というイメージを打ち壊しました。プレースタイル変更後は、使用頻度こそ減りましたが、現在でも稀に使用することがあり、未だメイス選手の一つの武器となっています。
メイスカッター
中陣からチキータの様に打球するメイス選手のオリジナルの技です。非常に回転がかかっており、「メイスカッター」を受けた選手がことごとく、あまい玉を返球していることから想像以上に威力があると思われます。
試合中にキレる!?
メイス選手は、気性が激しいことで有名で、水谷隼選手も、これまで対戦してきた中で1番短気だと思う選手にメイス選手をあげています。試合中に、ラケットを投げたり、コートを蹴ったりして審判からイエローカードをもらうことも少なくはありません。
メイス選手自身も、自覚している様で、卓球レポートのインタビューにて自身のことについて言及しています。以下、卓球レポートより抜粋します。
「自分はかなり感情的だと思う。それを自分でコントロールできなければ、卓球でも大きな長所にできると思うし、コントロールできなければ、ただの欠点。とにかく負けることが大嫌い。最後までエキサイティングな試合は、僕にとっては苦しいことでなくて、とても楽しいことなんだ」
「以前の僕は、試合中に相手にリードされたり、試合で負けたりした時は、信じられないくらいイライラしていた。それで、ラケットを投げたり、物に八つ当たりしていた。
しかし、トップ選手になりたいなら、このような行為を慎まなければならない。世界のトップ選手の中に、ラケットを投げたりする選手はいないし、多くの選手は落ち着いて集中している。
とても長い道のりだったけど、最近では少しずつ、自分の敗戦を受け止められるようになってきた。(感情のコントロール方法は)人それぞれだけど、共通して必要なのは、自分が向上するために必要なものは何かを考え、それを素直に受け止めること。そして、それを実践すること。以前の僕は、人の忠告に耳を傾けなかった。でも、自分の非を認め、他人の意見も聞くことにした。自分を変えなければいけないと感じたから」
卓球レポート 水谷隼に聞く 33 短気な選手 https://www.butterfly.co.jp/takurepo/interview/detail/013095.html
使用用具
使用ラバー
メイス選手はバタフライ製のラバー「ディグニクス05」を使用しています。
両面に貼っています。2005年の世界卓球時は、フォアに赤色、バックに黒色でしたが、近年はフォアに黒色、バックに赤色となっています。なお、ラバーの厚さは特厚を使用しています。
使用ラケット
メイス選手はバタフライ製の「ティモ・ボルALC」を使用しています。※バタフライの公式ページでは、「ティモ・ボルALC」を使用していることになっていますが、メイス選手は、用具変更を頻繁に行う選手なので、もしかすると最新は違うかもしれません。
かつては、自身のモデルである「メイス」を使用していました。メイスは、非常にバランスの良いラケットであり、日本の水谷選手や岸川選手も使用していました。アリレートカーボンを搭載しているラケットであり、コントロールしやすいラケットであることで有名でした。残念ながら、現在は廃盤となっています。(後継モデルに「フレイタス ALC」というラケットがあります。)
ただし、未使用品があることは期待しない方が良いと思います。
また、現在はバタフライからメイスアドバンスという合板のラケットが販売されています。
スペックはメイスアドバンスと同じです。
私は、残念ながら「メイス」は使用したことがないのですが、「メイスパフォーマンス」(現在は廃盤)という5枚合板のラケットを使用したことがあります。テナジー05を貼って使用したのですが、コントロールしやすく、回転もかかり、大変満足でした。「メイスパフォーマンス」の後継モデルが「メイスアドバンス」になります。
個人的には、合板の打球感が好きな人や、初心者から中級者の方は現在販売中の「メイス」アドバンスを使用してみては、いかがでしょうか。
メイス選手のおすすめ動画
相手は、世界卓球で3度の優勝経験がある中国の王励勤選手です。2010年当時、王励勤選手は、全盛期でないもののまだ、そのパワフルな両ハンドは健在です。好試合となっておりますので、是非見て下さい。
2008年の北京オリンピックの試合です。相手は、クロアチアの大ベテラン選手である、ゾラン・プリモラッツ選手です。メイス選手のロビングが光るゲームとなっています。
2011年の中国の王皓選手との試合です。皆様ご存じの方も多いと思いますが、王皓選手といえば、ペンホルダー選手の中でも、バックハンド技術が卓越している選手として有名です。メイス選手もバックハンドの技術は超一流であり、非常に見応えがあります。試合を見ていただけると分かるかと思いますが、メイス選手のバックハンドが早すぎです。当時、ブライススピードというバタフライの中でもかなりスピードが出るラバーを使用していたので、その影響もあるかと思います。